日本の高度経済成長とともに発生した公害問題 -私たちは、簡易分析の普及を目指した-

共立理化学研究所は、複雑な器械や器具、難しい操作を必要としない簡易分析の普及を目指し、1952年11月に岡内重寿が個人企業として創設しました。
試行錯誤の末、初めて製品化されたのは、「pH試験箔」です。

当時、日本では戦後の高度経済成長とともに全国で公害問題が多く発生し、大気汚染、水質汚染などにより都市を流れる河川は真っ黒に汚れていました。
その対策として、1967年7月に成立したのが「公害対策基本法」です。

この頃、私たちはpH試験箔と同じような形態の重金属検出試験紙を開発し、「分析用試験紙」の発売を始めました。
しかし、既に高精度の分析装置が数多く販売されており、重金属の分析において簡易分析である試験紙は、相手にもされませんでした。数百万円の分析装置と1枚数十円の試験紙では、検出感度も精度も異なります。展示会に出展しても、「誰でも、どこでも測れる試験紙です!」としかアピールできませんでした。


土壌汚染の土地の線引きに役立つ、
誰でも、どこでも測れる分析用試験紙

1973年、東京で重金属による土壌汚染問題が発覚しました。
重金属を含有する土壌が、多くの場所で再利用されていました。その結果、土壌から溶け出した重金属が、1971年6月に施行された「水質汚濁防止法」に違反する事態となり、直ちに再利用された土壌の入れ替えや封じ込処理の動きが広まっていきました。
しかし、その範囲はあまりにも広大で、周囲に漏れ出した有害物質の把握は困難な状況に陥りました。
そこで注目され始めたのが、手早くその場で結果が確認できる分析用試験紙でした。

さらに厳しくなる環境基準

その後、水質汚濁防止法は厳しくなっていきました。対象となる企業には、汚染対策や環境基準の順守が求められ、違反企業には営業停止などの罰則が科せられました。
多くの中小企業は、基準を順守するために排水対策にも配慮しながら事業活動を行いました。しかし、「見た目では排水が基準を満たしているのか分からない」「分析機関に依頼しても検査結果が分かるまでに数日かかる」「検査結果が出るまでの間、生産や排水を止めるわけにはいかない」「毎日、分析を委託するにも中小企業にとって費用が高額だ」などの問題が生まれました。
当時、規制値は厳しくなり、分析用試験紙では測定することが難しくなりました。
この時、私たちのもとに多くの関係各所から規制値の判別ができる簡易分析器の開発が求められたのです。

誰でも、どこでもできる、パックテストの誕生

社内では分析用試験紙を上回る感度の新製品の開発が始まっていました。
試験紙ではなく、ポリチューブの中に試薬を入れ、そこに検水を入れたらどうなるか?
アイデアを形にすることの難しさを痛感させられました。
そのような苦しみの中で、検水量、試薬の選定、pHや妨害物質、長期安定性など様々な試験を繰り返し検証し、ようやく規制値レベルを測定できるまでのものができるようになったのです。
試薬を封入したチューブの片方にピンで穴を開けて、スポイトと同じ要領で検水をチューブに吸い込み、変化した色を付属の標準色と比較します。標準色に表示した値を読めば、それが求めるイオン濃度です。
1973年、「誰でも、どこでもできる、パックテスト」の誕生でした。

パックテストが誕生しても課題は次から次へ

パックテストはすぐに評判になりましたが、量産化の壁にぶつかります。知識と経験、そして勘で原理原則はできましたが、量産化ができなければビジネスにはなりません。
この課題を解決したのが、後に2代目となる岡内完治です。
初代と構想を相談し、それを形にするために自動機械を作ってもらおうといくつか機械メーカーに足を運びました。しかし、提示される見積額はどれも天文学的な金額でした。この時、「とても作ってもらえない、これは自分たちで作るしかない・・・」と、岡内完治は覚悟を決めました。幸い、社内には一通りの工作機械と工具が揃っており、岡内自身もともと機械屋で、現場での経験もあったことから、試行錯誤の末に、自動製造機を開発させたのです。

簡易分析の存在

パックテストが誕生した当時、公害はますます大きな社会問題となり、その場で測定できる器具が現場では求められました。しかし、世間では簡易分析に対する疑問の声も多く、「簡易分析の存在」はあまり認められませんでした。
しかし、それらを払拭したのが、多くの公的機関での実用試験でした。現場で採水した試料を、JIS法とパックテストのそれぞれで測定、比較すると概ね実用になると結果がでました。
今日では、パックテストは産官学をはじめ一般家庭においても幅広く使用される製品となりました。

パックテスト®は、㈱共立理化学研究所の登録商標です

パックテストとは

パックテスト®とは、誰でも、どこでも簡単に水質を測定できる水質分析器具です。
現在、パックテスト®のラインアップは70項目以上あります。
1973年の発売開始以来、製品の開発・改良を加え、今日では、工場や事業所での排水管理や品質管理、ご家庭においては気になる水の検査、屋外での環境調査などの幅広い場面で多くの方にお使いいただき、お客様の「知りたい」に寄り添いながら、製品を提供し続けています。

簡易分析だから、できることがあります。 -現場ですぐに測定・安心の高品質・高い信頼性-

私たちは、簡易分析ではこれまで測定が難しいとされた、鉛を測定するパックテスト鉛測定セットや従来のパックテストでは測定のできなかったより低濃度域の測定ができるパックテスト・ズームシリーズなど、簡易分析に特化した技術をもっています。
現在、代表を務める岡内俊太郎は、「簡易分析だから、できることがある」という使命のもと、来るべき未来に向けてICT(情報通信技術)を利用した新しい水質の簡易分析システムを2020年4月より展開しました。
これから先も、私たちがお届けする「誰でも、どこでもできる、水質の簡易分析製品」が様々な分野で役立てるよう、これまでの伝統とイノベーションをもって、チャレンジを続けます。
「環境を守る」という、ひとつの大きな目標にひとりひとりが向えるよう、私たちの製品は国内だけでなく海外のみなさまの活動もサポートしていきます。